授業設計


授業設計では、担当される授業の目的を達成するために、学期にわたる授業全体の構想を練ります。
授業を設計するための方法論は授業設計のパートで詳しく紹介しますが、 ADDIEモデルを用いて全体像を検討し、 ARCSモデルを用いて詳細な設計をチェックするといったように利用します。

例えば、ADDIEモデルに基づく授業設計は下記に示すように5段階のステップとなっています。

分析

前年度実施された授業改善アンケートの結果を参考にし、ニーズ分析とゴール分析をして全体像を決めます。法政大学では"自由を生き抜く実践知"という憲章を制定していますので、この憲章に基づいた「実践知教育」が望まれます。総長から先生方へのビデオメッセージをご覧ください。

設計

どこをどのような形にするかをデザインします。シラバス作成はこのフェーズとなります。ここにモデルシラバスを掲載しています。

開発

教材を作成したり、ビデオを撮るなどの開発を行います。授業で利用できるツールやサービスが提供されていますので、こちらを参照してください。

実施

実際に授業を実施します。TAを利用する場合にはTAハンドブックにてTAの業務内容を確認しておきましょう。

評価

実施したものを評価します。全学的に授業改善アンケートが実施され、その結果は教員にフィードバックされます。

ARCSモデルによる授業チェックはこちらです。
こうした方法論を長年の授業実践で独力で修得される先生もいらっしゃいますが、多くの実績をもとにして開発された方法論ですので、是非ご覧ください。


参考文献

  • 向後千春、"上手な教え方の教科書"、技術評論社、2015

教育の場で「自由を生き抜く実践知」を学生に伝えるための総長からのメッセージです。(テキスト版)



ポイント

  • 法政大学のホームページには、「法政フロネシス」という窓があります。ぜひ訪れて下さい。
  • 目標をもって努力すれば、今までの自分を超えることができます。ひとりひとりの学生に目標を設定して下さい。
  • 法政大学の135年の歴史と現在についてぜひ学んで欲しい、と学生に伝えて下さい。

法政大学憲章

( 拡大版)
自由を生き抜く実践知



シラバスを作成し、所定回数の授業を行い、定期試験を行い、評価するといった一連の作業を方法論としてまとめたものが授業設計です。改めて授業設計を学ぶのではなく、今実践されている授業を方法論と照らし合わせることで、自身の授業の良い点と改善すべき点を把握することができます。インストラクショナルデザイン(ID)は、教えるという行為とその成果を研究対象とし、その研究成果として上手な教え方を実行するためのモデルと理論を提供します。(向後、2015)
下記にそれらの一例を示します。

ADDIEモデル
Analysis(分析)、Design(設計)、Development(開発)、Implement(実施)、Evaluation(評価)の頭文字をとったモデルです。(稲垣、鈴木、2016)
  • 分析:学習者の特性や前提知識、教える内容を分析し、目標を明確にします。
  • 設計:教材研究を行い、教える内容の見取り図を作ります。
  • 開発:単元の計画、授業の流れをまとめ、教材や学習環境を準備します。
  • 実施:用意した教材を使って実際に授業を行います。
  • 評価:授業後に授業の振り返りをします。

ARCSモデル
授業において学生のモチベーションを維持するための方法論で、こちらを参照してください。

キャロルの時間モデル
「良い成績をおさめるためは、それに必要な時間を使う」という理論です。学習に必要な時間は、{課題への適正} x {授業の質} x {授業理解力}で表されます。
  • 分析:学習者の特性や前提知識、教える内容を分析し、目標を明確にします。
  • 課題への適正:教科や課題の得意・不得意
  • 授業の質:高い質の授業は短時間で十分学ぶことができる。
  • 授業理解力:教員の意図を理解する一般的な知識

ガニエの9教授事象
教員が学生に対して与える外的な刺激という観点から整理された理論です。(稲垣、鈴木、2016)
  1. 学生の注意を喚起する。
  2. 学習目標を知らせる。
  3. 前提条件を確認する。
  4. 新しい事項を提示する。
  5. 学習の指針を与える。
  6. 練習の機会を設ける。
  7. フィードバックをする。
  8. 学習の成果を評価する。
  9. 保持と転移を高める

メリルによるIDの第一原理
社会の変化に対応できる力を育てるためのID理論です。(稲垣、鈴木、2016)
  1. 現実に起こりそうな問題に挑戦する。
  2. すでに知っている知識を動員する。
  3. 例示がある。
  4. 応用するチャンスがある。
  5. 現場で活用し、振り返るチャンスがある。

参考文献

  • 向後千春、"上手な教え方の教科書"、技術評論社、2015
  • 稲垣忠、鈴木克明、"授業設計マニュアル"、北大路書房、2016

ここでは具体的な授業の進め方を紹介します。
下記の3つの例は、東京大学にて制作された"+15 (Plus fifteen minutes.): How can we enjoy plus 15 minutes?"から抜粋した授業方法です。この資料には、下記に挙げた3例を含む29の手法が記載されており、大講義でも使える手法もあるため、その一覧も合わせて掲載します。

Think Pair Share

  1. クラス全体に質問を提示します。
  2. 学生は一人で質問について考えます。
  3. 質問について考えたことを、ペアで意見交換します。
  4. 意見交換は、話し手と聴き手とを交替で行い、相手の意見との共通点や相違点、その理由について考えながら行うようにします。
  5. 必要であれば、クラス全体で話し合った内容を共有します。

ピア・レビュー

  1. 授業中の活動や課題として学生にレポートを執筆させます。
  2. ペアを作り、お互いのレポートを交換します。
  3. レポートへのコメントの観点を学生に示します。(文法、論点の適切さ、文章の論理性など)
  4. 時間を取り、お互いのレポートを読みます。(メモやコメントを記入します)
  5. 交互にお互いのレポートについてのメモやコメントを口頭で述べます。
  6. 授業中の活動や次週までの課題として自分のレポートを改善します。

問題作成

  1. 学生に問題作成用紙を配布し、作成する問題の形式を示します。
    例: 「本授業での重要用語を回答させる「穴埋め問題」を作成しなさい」「あなたが授業担当者であれば、この回の小テストとしてどのような問題を作成するか、記述しなさい。その際に採点の基準も示しなさい。」
  2. 用紙に実際に問題を作成させます。
  3. 質問について考えたことを、ペアで意見交換します。
  4. 時間があれば、周囲の人と問題を交換し互いに解かせます。
  5. 用紙を回収し、次回の授業で講評します。

 "+15 (Plus fifteen minutes.): How can we enjoy plus 15 minutes?" に掲載されている手法一覧

適合度:大講義への適合度(1~5)
手法名
適合度
目的
所要時間
活動人数
T/F テスト(正誤テスト) 5 前時の復習・予習 10-15分 個人/ペア/グループ
クイズ(多肢選択式の質問)で理解度を確かめる 5 前時の復習・予習 10-15分 個人/ペア
覚えていることや理解していることを紙に書きだす 4 前時の復習・予習 10-30分 個人/ペア/グループ
Background Knowledge Probe(背景知識の調査) 5 学生の状態(事前知識)を知る 10-15分 個人/ペア/グループ
インタビューと自己紹介 3 教員と学生・学生どうしの関係構築 15-30分 ペア/グループ
自己紹介カードの作成 3 教員と学生・学生どうしの関係構築 5-10分
(作成)
15-30分
(内容共有)
個人/グループ
Think Pair Share(個から全体へと広げる議論) 5 短時間でその場でできるディスカッション 5-20分 ペア
Buzz Groups(グループでの議論) 4 短時間でその場でできるディスカッション 5-20分 グループ
Ball-toss(ランダムに話し手を決める) 3 教室全体を使って行うディスカッション 5分~ クラス全体/グループ
Snowballing(for discussion) (雪だるま式に人数をふやして議論する) 3 教室全体を使って行うディスカッション 10分- ペア/グループ
Corner Exercise (提示された質問について交代で議論する) 3 教室全体を使って行うディスカッション 20分- ペア/グループ
ピア・レビュー 4 相互添削・評価 15-30分 ペア/グループ
相互教授法 4 相互教授 20-40分 ペア
ミニッツペーパー 5 双方向性を高めながら振り返るツール 5-15分 個人
大福帳 5 双方向性を高めながら振り返るツール 5-15分 個人
ワークシート 5 双方向性を高めながら振り返るツール 5分- 個人
質問受付 5 自分ひとりで振り返る 10-15分 個人/ペア
問題作成 5 自分ひとりで振り返る 10-20分 個人/ペア
ノートテイキング=ペア(協同でノートを作る) 5 仲間と振り返る 10-30分 ペア
Affinity Grouping(概念を書き出してグループ分けする) 3 図示や構造化で振り返る 15-30分 グループ
Word Webs(概念マップのグループ版) 3 図示や構造化で振り返る 10-30分 グループ
Group Grid(マス目に情報を整理する) 5 図示や構造化で振り返る 10-30分 グループ
ピア・インストラクション 5 学生どうしの教え合いで知識獲得・内容理解を進める 45分- 個人/ペア/グループ
ジグソー法(ジグソー・メソッド) 4 学生どうしの教え合いで知識獲得・内容理解を進める 30分- グループ
ロール・プレイ 3 既習知識を応用する 30分- ペア/グループ
ケース・スタディ 3 既習知識を応用する 30分- ペア/グループ
問題解決学習(PBL:Problem based Learning) 3 既習知識を応用する 1コマ- グループ
ポスターセッション(ポスター発表) 4 時間をたっぷり使って全員と対話する 45分- グループ
ワールドカフェ形式 3 時間をたっぷり使って全員と対話する 45分- グループ

2016年度学生が選ぶベストティーチャー賞 現代福祉学部 湯浅 誠 先生の2017年春学期の授業風景です。
約10分のビデオですが、大教室においてアクテイブラーニングを行うための手法として参考になります。



教員からのコメント~授業で心がけていること/工夫

「教える」と「学ぶ」は違うことを前提に、「教えない、学ぶサポートをする」授業を心がけてきました。大人数授業でも参加型で行っています。学生の皆さんの持ち帰られるものがなるべく多くなるよう、これからも工夫していきたいです。




教員が授業を実施するために大学が提供している教員向の情報およびサービス一覧です。

# 情報/サービス 概要 提供方法
/問合先
1 FD推進センター
Webサイト
学習支援ハンドブック、FD学生の声コンクール、法政教員の輪、Newsletter, モデル授業などの情報が提供されています。 Web
2 アカデミック・サポート・サービス シラバスや教材等の英文チェック・アドバイス、授業内でのClassroomEnglishのチェック・アドバイス、発音の確認、練習、ガイダンス等での原稿チェック、アドバイス等に関するマンツーマンレッスンです。 Web
3 学生授業モニター 認定を受けた学生モニターが学生の視点で担当される授業の改善点を提案します。 kyoiku
@hosei.ac.jp
4 GPCA分析結果フィードバック 担当する授業のGPAを授業規模、所属学部、大学全体の視点から各学期ごとに分析・比較し、それらの結果を教員にフィードバックします。 郵送
5 授業支援システム
H'etudes
文字通り授業を支援するシステムで、お知らせ、教材、レポート課題、テストなどをWebを通じて学生に提示することができます。 Web